6L6singleの写真

[ 回 路 図 ] [ ハ ラ ワ タ ] [ 後 ろ か ら ] [ お ま け ]


久々にシングルアンプで遊んでみました。教材は、オークションで安く手に入れた中華製の6V6(6P6P)シングルです。


フィリピンから帰国して数年、全段差動の小さなアンプばかり作っていました。片手でひょいと持ち上げられるのが老体には
有難いんです(笑)。でも、そのどれもが、本当に素晴らしい音を聴かせてくれます。小さな部屋で一人音楽を楽しむには必要
にして十分だと思います。でも・・・ちょっとマンネリ傾向を感じ、ここらで少し浮気をしてみることにしました。と言っても、
大きくて重たいのは体力を消耗します。たまたまオークションで不人気そうな小ぶりの中華アンプが目にとまり、遊び相手にな
っていただく事にしました。



★ 【 オリジナルの中華アンプはこれ 】↓

6L6singleの写真2

[ 回 路 図 ] [ ハラワタ ] [ 基板パターン ]


届いたその中華アンプは、予想を遥かに超えた重さでした(笑)。今の私の握力では片手でトランスを掴んで持ち上がりません。
大きさは、272×192とコンパクトですが、頑丈な厚い鉄板のシャーシとしっかりしたトランス類で、おそらく8Kgを超えてます。
さて、電源を入れて最初に聴いた印象は、予想に反してワイドレンジ、でも荒っぽく騒々しい音で、長くは聴きたくないなという
ものでした。それにリップルの処理が不完全なのか、ハムも気になるレベルでした。

とにかく回路を解析する事にします。先ず、真空管ソケットと電源回路を含めた全CR部品が載っているプリント基板を取り出し、
JW-cadで回路図を描いてみました。両面プリントではなかったので、比較的簡単に回路を追うことができました。 回路図は上記
の通り、初段に5極管(6SJ7 or 6AU6 相当)を使ったシンプルな2段構成です。やはりリップルフィルターが貧弱ですね。



★ 次のような実験及び改造を試みました。

1.電源ランプを追加。:電源スイッチを左側に移設し、元の電源スイッチの穴に100vネオン管のパイロットランプを設置。
2.小さな基板に、FETでリップルフィルターを組み、既設の100Ωの抵抗に置き換え。
  ハム音は激減したが残念ながら僅かに残る。(SP.から30cm程度耳を遠ざけると認知困難なレベル)
  このハムは、電源トランスからの漏洩磁束によるもので、各トランスの向きを変更したり、別の電源トランスと交換した
  りと色々試したが、結局この大きさのシャーシでは元の配置がベストの様なのでこれ以上の改善は断念しました。
3.NFB回路の47Kの抵抗を22Kに変更:当初のゲインが20倍近くあり使いづらかったが、12倍ほどに下がり耳障りも
  良くなりました。NFBが深くなった為か少しオーバーシュートが目立ったので、70pFを抱かせて補正を行う。
4.初段を3結、終段をカソードNF:綺麗な音になった。歪率が1Khz 0.5w=0.7% 3.4w=5% ゲインは5倍まで低下しました。
5.上記4のまま終段を6L6-GCに挿し換え:P電圧が低い為か大きな変化なしです。
6.オリジナルの基板を撤去し、両外側を終段用のUS8P、内2本を前段用にMT9Pソケットを取り付け。
7.前段を手持ちの6AN8とし、終段6P6Pで超3結合とする:hu-mmm 超3の音を思い出しました(笑)
8.他にも、何例か試しまた。
9.最終的には、私の好きな6AN8のSRPPドライブで6L6-GCの3結に落ち着く:非常に美しい音! 全段差動ミニワッターとい
  い勝負してます。6CA7が手に入れば是非とも試してみたいです。
10. スピーカー端子とボリューム及びツマミも交換、おまけの飾りとして、縞黒檀の板を強力マグネットで貼り付けてみました。
 

昨年の秋から半年ほど、いろいろ弄りまわして遊ばせてもらいました。オリジナルのままで聴くのはイマイチですが、それぞれに
好きな回路に改造して遊んでみる素材とみれば面白いアンプかと思います。出力トランスも悪くなく低域もよく出てます。ただ、
電源トランスが110vの倍電圧整流使いということで、B電圧の制約がありますので280V以上が必要な回路は電源トランス
を交換しないと対応できません。ただ、この電源トランスは電流容量の表示は無いものの、現在120mA以上流してますが、ほんの
少ししか熱を持ちませんので余裕は十分あるように思われます。


最近でもオークションで見かけますので、安くゲット出来れば面白い素材だと思います。特に頑丈なシャーシが気に入りました。
既設のソケット付きの基板を取り外しても、市販の US8P ソケットを無加工でビス取付けが可能ですので、このトランス類を使用
した様々なシングルアンプ、トランス類を交換して複合管を使った小型プッシュプルアンプや差動ミニワッターにも応用できると
思います。



[真空管アンプに戻る]