6ca7写真

[ 回 路 図 ] [ ハラワタ ]



5台目の作品です。木村氏のサイトで「全段差動PPアンプ」を初めて知り、その評判の良さに作ってみたくなりました。定電流回路やZd、CRdも初めての導入で、部品集めにも戸惑いながら何とか完成する事が出来ました。その間、掲示板での愚問に大変親切にご回答いただいた皆様にこの場をかりて厚く御礼申し上げます。

〔回 路〕

簡単にいうと「コビペ」の集合体です。出力5ワット以上は欲しかったので、終段菅は手持ちの関係で6CA7に決めました。3段構成はややこしそうなので2段構成でいく事にし、初段は当初一番ゲインが得られそうな 12AX7のSRPPで、実験シャーシ(大昔に組んだモノラル42PPの残骸で、前4作品でも大活躍) にて片チャンネル分を試作してみました。

ダミーとオシロをスピーカーに繋ぎ替え、電源を入れてSPに耳をつけてみると、??? おかしい、ハムが聞こえない、ノイズも聞こえない...??? CDをスタートさせました、次の瞬間、大変クリアで非常にキレのいいレイブラウンのベースが流れ出しました。ビックリです、そのまま2〜3時間、視聴タイムと成ったのは言うまでもありません。

色々なCDを聞いてみて、最近の盤は結構ハイレベルで録音されているのでいいのですがCDプレーヤーを直結で鳴らしている私の環境では、レベルの低い録音のCDでもう少しゲインが欲しく感じました。そこで、初段を前作の300Bシングルで成功した6AN8のSRPPに変更してみる事にしました。実はこの回路、前作の構想中に、某メーカーの300Bアンプの視聴会で頂いた回路図からまねしたもの(3極菅と5極菅は独立でしたが)ですが、その後、木村氏のサイトでも同様のSRPP回路が話題になっているのを知り、「ぺるけドライブ」を採用することにしました。

思考錯誤の末、回路図の定数で6db程度の負帰還をかけても約12倍のゲインが得られ完成としました。この回路で一番苦労したのは6AN8のバラツキでした、複合菅でバランスを取るのはとても厄介です。

〔トランス類〕

すべてオークションで調達してあったものを活用しました。CRD−5は2次側4オーム端子使用でみかけ10Kオームとしています。PT−350は2A3用の仕様みたいで、初段のマイナス電源を作るのに2組の 2.5vの巻線しか残らず、これを直列にして倍電圧整流するとゆう事になってしまいました。チョークコイルは手持ちの物ではどうもうまい配置が出来ずに、ちょーどオークションに出ていたものをゲットし、色をそろえる為、黒のつや消しで塗装しました。

〔シャーシー〕

鈴蘭堂のSL8-HGが手持ちで在りましたので、少し窮屈かな?と思ったのですが採用しました。デザインや図面の作成も、CAD(フリーソフトのJ.W.W.)を使えるようになって大変便利になりました、実寸で印刷してシャーシに貼り付け、ポンチでマーキングしています。

せっかくのシャンパンゴールドの天板が、ご覧のような塗装になったのは、穴あけ失敗の産物です。最後の最後でMT菅のビス穴が合わず、ドリルの刃でサクッている時に天板を傷つけてしまい、仕方なしに塗装で誤魔化しました。<<教訓:下側取り付けのソケットのビス穴は現物合わせの方が確実である)>>

塗装を終えて、黒の胴体に被せてみると結構イケル色バランスになったので、一安心・・・もつかの間今度は、胴体後面のACイントレットをホールソーで穴けている時に、足で踏んでいた前面を少し滑らしてしまい、擦り傷を付けてしまいました。新聞紙の上で、一応、切子を掃除してから踏んでいたのですが...やはりタオルでもかましておくべきでした。<<切子の掃除は子まめに丁寧に>>

胴体の再塗装を考えたのですが、完成を急ぎ、在りあわせの木目シートで誤魔化しました。

★★ 測 定 結 果 ★★

    L-ch     R-ch
 裸利得(1KHz/1W)   25.8倍(28.2db)   24.7倍(27.9db) 
 負帰還後利得(〃)   12.2倍(21.7db)   11.8倍(21.4db) 
 負帰還量      2.1倍(6.44db)   2.1倍(6.44db) 
 最大出力(8Ω)   8.8(W)   8.8(W) 
 入力感度(8.8W時)   0.72(V)   0.74(V) 
 歪率(1KHz 1W)   0.15(%)   0.39(%) 
 歪率(1KHz 8W)   2.23(%)   2.31(%) 
 最小歪率(1KHz)   0.083(%)/0.2(w)   0.12(%)0.05(w) 
 残留雑音レベル   0.12(mV)   0.34(mV) 
 D/F(1KHz 1W)   5.94   5.74 


6ca7歪率




★ 歪率は,パソコンに外付のサウンドボード(SoundBlaster Audigy2NX)とフリーソフトの[WeaveSpectra]を 使用しての計測です。初めての試みなので精度は??です。
★ 利得、歪率、残留ノイズの左右の差は初段菅を入れ替えると、左右逆の結果が出ますので6AN8のバラツキによるものと思われます。
★ 周波数特性は左右とも10Hzまでフラット、高域は25KHzまでほぼフラット、その後だらだら落ちて75KHzで−3dbとなりました、その後変なピークもなくだらだらです。
★ 5極-3極の複合管によるSRPP−差動は、よほど特性のそろった4本の球をゲットするか、各所にバランス調整回路を入れるかしない限り、左右の数値を合わせる事は非常に困難である事がわかりました。 音を聴いている限り、私の耳では全くどうでもいい数字ですが...。



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