U7写真

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3台目の全段差動PPアンプです。  今度こそ、省エネの可愛いらしいアンプが欲しいと思いプラ
ンを練ってみました。10月頃から実験を始め、やっと完成したのがクリスマスの日の夕方でした。

〔終段菅〕」

手持ちに、小さな降圧トランス(200,220,240→100)と3Aのヒータートランスが在ったので240→100 を逆に使い、DCで100mAの負荷をかけてテストしたところ DCで290Vが得られ、発熱もたいした事がなさそうなのでこれを使うことにします。 終段管を物色中、オーム社の大昔の回路図集をパラパラ捲っていると12AU7パラレルPPで1.5Wの例が載っていました。パラPPで1.5Wも面白そうなのでこれで決定です。
早速オークションで4本をゲットしてしまいました。日本橋までそう遠くはないのですが、最近、買い物に出かけるのが面倒になってきて、直ぐに通販やオークションを利用してしまいます。 日本橋の真空管屋さん、ごめんなさい。

ロードライン

〔初 段〕

最初の実験で、終段菅のバイアスが-7〜-9V位なのでどんな球でも楽勝だろうと何も考えずに6DJ8の差動をつけ加えてみました。予想を超えるいい音が出て来ました。でもゲイン不足です。「なんでやねん?・・」。それから考え始めました。終段のロードラインから、ドライブ電圧はp−pで24V(8.5Vrms)以上が必要なはず、小出力のアンプなので入力感度を少し欲張って0.4V、 NFBを6db程度掛けるとすると・・・・。なんと42倍超の初段ゲインが必要となるのです。6DJ8の差動では16倍程度なので、NFB無しでも0.5Vの入力が必要になります。メインアンプの入力感度は、1V位が適当らしいのですが、小出力のアンプで、しかもプリアンプ無しにCDプレーヤーを直結の環境では、仕上がりで10倍以上のゲインが欲しいです。(私のCDPの出力が低いだけかも?)

それではと、μの高い12AX7では?と試してみました。B電圧の制約で、あまり利得が稼げず(33倍がせいいっぱい)3db のNFBで仕上がり利得9倍程度と、ぎりぎりゲインはクリアできたのですが、高域の特性がガタ落ちです(16KHz 位から減衰し始める)。手持ちに12AX7より内部抵抗の低い6AQ8(μ=60)が何本か在ったのでこれも試してみました。なるほど、高域特性はずいぶん改善されましたが、やはりもう少しゲインが欲しいし、NFBももう少し戻したいです。

次に試したのは、2段構成は諦めて、今ぺるけさんのBBSで話題になってる3段化の実験です。幸い前作の試作の時に購入した20本ほどの2SK30が選別して置いてあってのでよさそうなペアで小さな基板を組みくっつけてみました(次段も12AU7で)。さすがに裸で50倍位のゲインが得られ、めでたしめでたしと思われたのですが、仕上がり16倍としても10db程のNFBを掛けなければなりません。OPTを譲って戴いた時に、その測定資料も添付して下さり、高域にピークを持っていることが分かっていました。多分6db以上のNFBはやめといた方がいいだろうと思っていましたが、10dbのNFBでダミーロードの8Ωに0.1μFを並列にするとみごとに発振です。

前作のように、ソースに抵抗を入れて初段のゲインを落とそうか?、それともFETで2〜3倍くらいのプリアンプを作り、入力に組み込もうか? と色々迷ったのですが、結局選んだのは実績のあるFETと6DJ8によるSRPP回路(ぺるけドライブ)の初段です。今回は、FETの耐圧用にパワーTRを入れるのは面倒だったので、某H.P.からアイデアを頂いて100V耐圧の2SK373を使用してみました。初段のB電圧は30Vのツェナーを3段重ねで90vに縛りました。やっと丁度いい具合のゲインが得られ、裸で23倍、6db 弱のNFBを掛けて総合利得が11倍、最大出力 1.6W 時(8Ω負荷)の入力感度 0.3V強となり、この回路に決定です。

※〔重 要〕

その後、掲示板でのベテラン諸先輩のお話から勉強させて頂いたところ、2SK373の耐圧は100Vあるのですが、ドレイン電圧が20Vを越すと 「ゲート過剰逆電流」 が急激に増大し、ゲート側に電圧が発生する等の弊害が出る為、このような設計はしないようです。やはり、カスコードのTrを挿入して耐圧を稼ぐのが常道のようです。     

〔シャーシー〕

今回の製作で一番手が掛かったのがシャーシです。最初は超簡単に塗装もしないで、アルミの弁当箱シャーシで組もう思っていたのですが、試作機(もちろんモノ)の鳴りっぷりを聞いているとあまりにも可哀想な気がして、もう少しマシな入れ物に入れてやりたくなりました。端子むき出しの裸のトランスを並べるのも感電しそうで危険だし、トランスカバーもも必要です。トランス類の寸法を頭に入れ、ニノミヤ無線のシャーシ売り場であれこれ物色すること20〜30分。写真のようなシャーシケース(300*200*50の2号機で使った物の色違い)とトランスカバー用の富士シャーシ(300*100*60)との組み合わせで収まりそうです。
が、ここからが大変でした。シャーシケースの底をジグソーでくり貫いたり、写真では見えないですがパンチングメタルで底板を作ったり、タップを切る為の増厚用の金板を接着したり・・・・。トランスケースを黒に塗装しシャーシの上に乗せてみたところスッキリし過ぎてもう一つ?。アクセントにサイドウッドを付けることにし、ごらんのようなデザインに落ち着きました。

{鳴りっぷり}

瞬時切替器で、前々作の6AN8(SRPP)+6CA7の全段差動アンプと聴き比べてみました。初段のテイストの性かOPTの違いか?ごく僅かに明るい音の印象です。小音量では全く遜色なく聞こえます。さすがにプッシュプルアンプです、音量を上げていっても、最大出力 1.8W が嘘のように良く伸びていきます。10帖位の部屋では十分過ぎる音量でしょう。今までの出力に対する私の概念が間違っていた事をはっきり思い知らされました。

★★ 測 定 結 果 ★★

    L-ch     R-ch
 裸利得(1KHz/.5W)   22.2倍(26.9db)   21.5倍(26.6db) 
 負帰還後利得(〃)   11.4倍(21.1db)   11.36倍(20.7db) 
 負帰還量      1.93倍(5.7db)   1.89倍(5.5db) 
 最大出力(8Ω)   1.8(W)   1.8(W) 
 入力感度(1.8W時)   0.34(V)   0.35(V) 
 歪率(1KHz 0.5W)   0.503(%)   0.502(%) 
 歪率(1KHz 1.8W)   4.35(%)   4.28(%) 
 残留雑音レベル   0.12(mV)   0.16(mV) 
 D/F(1KHz 0.5W)   3.76   3.65 


U7歪率


U7F特




★ 歪率は,パソコンに外付のサウンドボード(SoundBlaster Audigy2NX)とフリーソフトの[WeaveSpectra]を使用しての計測です。精度は???です。
★ 周波数特性は左右とも低域は16Hzまで殆どフラット、高域はご覧のようにトランスのバラツキが諸に出てしまいました。どうも試作実験に使っていたのは R-chに使用したトランスようです。OPTの装換は今後の課題とします。このコブの為か、10KHz 以上の方形波の測定で若干のリンギングが観られ、それが音色をほんの少し華やかにしているのかな?と勝手に想像しています。



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